健常者を対象としたノニジュース摂取による生活習慣病予防効果

日本薬学会 第142年会 ©日本薬学会 第142年会(名古屋 2022年3月25〜28日)

臨床試験・論文発表

健常者を対象としたノニジュース摂取による生活習慣病予防効果

〜 終末糖化産物(AGEs)を指標とした検討 〜


○吉田 由樹1、河野 一郎2、西岡 佐余子3、浅野 哲1,4、高石 雅樹1
1. 国際医療福祉大学薬学部、2. マルルー株式会社、3. パルマキオン企画、4.内閣府・食品安全委員会

【目的】

 終末糖化産物(AGEs)はタンパク質の糖化反応により生成され、強い毒性を持つため、老化進行の原因物質である。また、体内に蓄積することで高血圧や糖尿病などの様々な生活習慣病を引き起こすことが報告されている。一方、ノニは抗酸化作用などを持ち、生活習慣病の予防及び改善効果が期待されている果実である。我々はこれまでに、健常な20歳代成人及び様々な基礎疾患を持つ高齢者を対象に、かんぴょうパウダー摂取が皮膚AGE量及び血糖値を低下させることを明らかにし、本学会にて報告している。

 そこで本研究では、糖尿病や高血圧などの生活習慣病改善効果が期待されているノニジュースによる生活習慣病予防効果を、健常な20歳代成人を対象に皮膚AGE量及び血糖値などを指標にして、検討を行った。

【方法】

 20歳代の健康な男女(国際医療福祉大学5年生及び6年生)16名を対象に、毎日朝食後に100%ノニジュース(ロイヤルタヒチ・ノニピュア)30mLを、4週間摂取させた。ノニジュース摂取開始の3週間前から摂取終了の2週間後までの計9週間にわたり、1週間毎に血圧、心拍数、体温、体重、血糖値、皮膚AGE量を測定した。また、ノニジュース初回摂取直前、最終摂取直後、摂取終了2週間後にHbA1cを測定した。

【結果・考察】

 ノニジュースを摂取しても、血圧、心拍数、体温、体重、HbA1c値に大きな変化は認められなかった。血糖値は、初期血糖値が100mg/dL以上であった4/4名で、ノニジュース摂取1または2週間後に大きく低下し、その後は低血糖を招くことなく初期血糖値以下の値で推移していた。また、初期血糖値が100mg/dL未満であった6/12名では、ノニジュース摂取により血糖値は緩やかに低下していった。皮膚AGE量においては、ノニジュース摂取により5/13名(検出限界以上:3名)で徐々に低下する傾向であった。

 以上の結果より、ノニジュースが血糖値及び体内AGE量を低下させる可能性が示唆された。ノニジュースは手軽に摂取できるため、日常的に摂取することにより生活習慣病を予防することができると考えられた。

基調講演

演題 利益相反の開示 目的 AGEs ノニジュース 方法 拡張期血圧・心拍数・体温・体重 上記のまとめ 収縮期血圧 血糖値 初期血糖値図2 ヘモグロビンa1c値1 ヘモグロビンa1c値2 皮膚AGE量 まとめ1 まとめ2